帝王切開のこと

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帝王切開のこと

赤ちゃんが子宮から膣を通って産まれるお産を「経腟分娩」と言います。
何らかの理由で経腟分娩が難しいと判断されたときに、お母さんのお腹と子宮を切開して直接赤ちゃんを取り出す手術方法を「帝王切開」と言います。
ここでは、帝王切開について詳しく見ていきます。

帝王切開って?

帝王切開って?

日本の医療関係者の間では帝王切開のことを略して「帝切」または「カイザー」「C-section」と言います
なぜ「帝王切開」と言われるようになったか、その語源は諸説ありますが、一つはドイツ語の「Kaiser=皇帝」「Schnitt=手術」という直訳です。

現在日本では約20%の妊婦さんが帝王切開を受けています。
妊婦さんの約5人に1人が帝王切開で出産していることになります。

帝王切開の割合が年々増加しているにも関わらず、帝王切開をネガティブにとらえている人もおり、帝王切開で出産した母親たちが偏見にさらされることも少なくありません。
日本での出産に対する偏見は、帝王切開だけではなく、無痛分娩を選択した母親にも向けられることもあります。
「お腹を痛めてこそ立派なお産」「陣痛を乗り越えてこそ愛情が沸く」と言った考え方が根強く残っているからです。
しかし帝王切開で出産した芸能人のママタレの増加もあり、帝王切開での出産も立派なお産という風潮も増してきています。

日本での帝王切開は、1852年の幕末期に、現在の埼玉県で実施されました。難産に苦しむ本橋みとの生命を救うために医師井古田純道と岡部均平とが、親族への説明と承諾の下に子宮回復術を実施して胎児を取り出し、胎児はすでに死亡していましたが、産婦も手術によく耐えて88歳の長寿を全うしました。
現在も手術が行われた部屋(納戸)は残されており、「帝王切開術発祥の地」の記念碑も建てられています。

2種類あります

2種類あります

帝王切開には、逆子や前置胎盤など、妊娠の経過において経腟分娩が難しいと予測され、あらかじめ手術日を決めて実施する「予定帝王切開」と、妊娠中の経過が良くても、主に分娩中、あるいは分娩前に何らかの問題が急に生じたために行う「緊急帝王切開」の2種類があります。

帝王切開になる可能性はすべての妊婦さんにあるということです。
それぞれの帝王切開になるケースについて解説していきます。

予定帝王切開

予定帝王切開

定期健診の段階で、経腟分娩ではリスクが大きいことが事前にわかっている場合は、ママと赤ちゃんの安全を守るために医師から帝王切開を勧められます。
あらかじめ37週以降に手術日を決めて行うので、パパや両親の日程調整はしやすいですね。

「自然分娩で産むことが危険」だと医師が判断するとはどういう場合でしょうか?
自然分娩ではママと赤ちゃんに危険が及ぶリスクが高いケースは以下の通りです。

  • 帝王切開で出産したことがある
    帝王切開の経験者が2人目以降経腟分娩で出産する場合、帝王切開をしたことがない人に比べて「子宮破裂」が起こる確率が高くなります。(確率は約0.3~1%)
    子宮破裂を起こすと、ママと赤ちゃんに重篤な合併症をきたす恐れがあります。希望すれば条件によっては経腟分娩にチャレンジすることも可能ですが、少しでもリスクを減らすために「前が帝王切開なら二人目以降も」と判断されることが多いです。
  • 児頭骨盤不均等(CPD)・狭骨盤
    「赤ちゃんの頭が大きすぎる」「ママの骨盤が狭すぎる」という理由で赤ちゃんが下がってこれそうにない時には、経腟分娩が難しいため帝王切開になります。
  • 前置胎盤・低置胎盤
    前置胎盤は「胎盤が子宮口にかかっていしまっている状態」。
    胎盤に道をふさがれて赤ちゃんが下りてこれなかったり、子宮口が開いたときに胎盤がはがれて大出血する恐れがあります。
    また、胎盤が子宮口にかかっていなくても胎盤の位置が低い(低置胎盤)と、お産時の出血が多く緊急手術になる可能性が高いため、予定帝王切開になることがあります。
  • 多児妊娠
    双子や三つ子など2人以上を妊娠している場合は、予定帝王切開になることがほとんどです。
    もちろんママと赤ちゃんに異常がなく頭位なら、普通分娩をすることも可能ですが、少しでもリスクを減らすために帝王切開と判断する医療機関が多いです。
  • 母体感染症
    ママがHIVに感染していたり、外陰部にヘルペス感染の症状がみられるときは、赤ちゃんが産道を通るときに感染する恐れがあるので、帝王切開を選択します。
  • 以前に子宮の手術をしたことがある
    子宮筋腫などの手術をしたことがある場合は、陣痛の時に手術跡から子宮が避けるリスクがあるため帝王切開となります。
  • 子宮筋腫があり、赤ちゃんが産道に入るときの妨げになる
    子宮筋腫が大き目だったり産道の近くにあったりして、子宮筋腫が邪魔で赤ちゃんが産道に入ってこれそうにないときは、予定帝王切開となります。
  • 母体合併症
    ママが心臓・肝臓・腎臓・血液などの病気を持っていて症状が重い場合には、母体への負担を減らすために帝王切開が考慮されます。
  • 高年齢初産婦
    全体の傾向として、40歳以上の初産婦の場合、何らかの病気が合併していたり、お産の進みが悪いことがあるため、「念のため」帝王切開を勧める産院もあります。
  • 逆子・横位など、赤ちゃんの頭が下を向いていない
    赤ちゃんの頭が下を向いていないと、子宮口が開きにくく一番大きな頭が最後にでてくるため、難産になりやすくなります。
    逆子でも経腟分娩で産めないことはありませんが、逆子に対応できる医師が少なくなっていること、「一般的に逆子は帝王切開の方が安全」ということから帝王切開が考慮されます。
  • 赤ちゃんの姿勢が良くない
    正常なお産の場合は「赤ちゃんが顎を引いて背中を丸めた姿勢」で骨盤内へと降りてきます。
    そうすることで、一番狭い頭の断面積で産道を通過することができます。
    けれど赤ちゃんの姿勢が悪く顎を引いていない場合は大きい断面積で産道を通過することになるため難産になりやすくなります。
  • 巨大児
    赤ちゃんが大きくなりすぎると難産になりやすくなります。
    基準は医療機関にもよりますが、推定体重が4000グラムを超えると帝王切開が選択されることがあります。
  • 胎児発育遅延
    週数に比べて赤ちゃんが小さめの場合、胎盤の機能が低下していると、陣痛の時に酸素の供給が十分にできなくなる心配があるので帝王切開が考慮されます。

予定帝王切開が決まる時期は「帝王切開になる理由」によって変わります。
帝王切開経験者や、多児妊娠の場合は、あらかじめ自然分娩のリスクが高いことが分かっているので、妊娠初期の段階決まります。
逆子など出産直前まで自然分娩ができる可能性が残っている場合には、妊娠後期に心構えをし、直前に帝王切開が決まります。

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緊急帝王切開

緊急帝王切開

緊急帝王切開は、妊娠中の経過が良くても、入院中あるいは分娩中に、「すぐに赤ちゃんを取り出さないと危険」だと判断された場合に緊急に同意を経て行われます。
心の準備ができていないので不安で焦ってしまうかもしれません。
でもママと赤ちゃんの安全を最優先に考えてのことなので、心配せずに落ち着いて望みましょう。

「すぐに赤ちゃんを取り出さないと危険」だと判断される場合とはどういう場合か見ていきましょう。

  • 遷延分娩・分娩停止
    十分な陣痛が来てるのにお産が進まない場合は、回旋異常や児頭骨盤不均衡が考えられるので帝王切開が適用されることがあります。
    また、出産に30時間位以上かかる場合は、ママが疲れてしまうことに加えて多児機能不全になるリスクが高くなるので、医師の判断により緊急帝王切開が適用されます。
  • 子宮内感染
    破水後に子宮が細菌感染した場合、赤ちゃんにも感染する恐れがあります。(熱が出たり、血液検査で炎症反応が出る)
    すでに陣痛が来ていてお産が進んでいる場合には抗生物質の点滴をしながら経腟分娩になりますが、産まれる気配がない場合は帝王切開が適用されます。
  • とくに重症な妊娠高血圧症候群
    妊娠中になんらかの理由で高血圧になってしまうことが全体の7~10%あります。特に重症な場合は、妊娠週数が早くても帝王切開で赤ちゃんを取り出すことがあります。(妊娠が原因の症状なので、妊娠をストップさせます)
  • 常位胎盤早期剥離
    正常な分娩では赤ちゃんが生まれた後にはがれるはずの胎盤が、赤ちゃんが生まれる前に剥がれてしまうと、赤ちゃんにもママにも重篤な障害をもたらす可能性が高いため緊急帝王切開になります。
  • 子宮破裂の恐れがある
    経腟分娩時に子宮が強く引き伸ばされて薄くなり、子宮が避ける恐れがある場合です。
    下腹部に腹痛がでたり、血尿が出たりという兆候がみられます。
    実際に避けてしまうことは稀ですが、リスク削減のために帝王切開が適用されます。
  • 胎児機能不全
    赤ちゃんの心拍が下がってきたり、羊水がひどく汚れるなど、「赤ちゃんが元気なことが確認できない」状態。
  • 臍帯下垂・臍帯脱出
    破水した時に、へその緒が子宮口の外に出てしまうことです。
    へその緒が子宮から外に出てしまうと、へその緒が圧迫されて赤ちゃんに酸素が届かなくなります。
    へその緒を子宮内に戻すことができたとしても再発するリスクが高いため、緊急帝王切開になります。
  • 妊娠週数が早く破水し、お産の気配がない
    妊娠月齢8か月より前に破水した場合、そのままにしておくと赤ちゃんが細菌感染する恐れがあるため、未熟児でも出産に踏み切ります。
    まだしばらくお産になりそうにないときは帝王切開になります。
  • 予定帝王切開の手術日よりも前に陣痛が始まる
    予定帝王切開が決まってるときは、「自然分娩になるとリスクが高い」状態。
    陣痛が止まらず、赤ちゃんが下りてきてしまうようなら緊急帝王切開になります。
  • 予定日超過で機能が低下したとき
    出産予定日を10日以上過ぎると胎盤の機能が低下して、赤ちゃんに十分な酸素が送れなくなります。
    羊水が濁るなど胎盤機能不全の所見が見られた場合は緊急帝王切開になります。

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手術の流れ

手術の流れ

緊急帝王切開の場合はケースバイケースなので、予定帝王切開についての流れを確認しておきましょう。

  1. 手術の流れや麻酔科の医師から図解を交えながら麻酔についての説明を受けます。
  2. 手術の前に点滴をして血管を確保します。
  3. 血圧計と心電図をセットし、導尿をします。
  4. 麻酔をします。最近は局所麻酔が一般的です。
    意識はきちんとありますので、赤ちゃんが出てきて異常がなければすぐに抱っこすることができます。
  5. 麻酔が効いてきたら切開します。切開の方法は、横切りと縦切りの二種類があります。
  6. お腹を切開してから5~10分ほどで赤ちゃんが誕生します。
    その後に胎盤も取り出します。
  7. 縫合します。麻酔をかけてから縫合するまでの時間は約1時間ほどです。
  8. 術後は問題がなければ個分の部屋で休みます。
  9. 血栓予防のケアのために着圧ストッキングを履きます。
  10. 落ち着いたら赤ちゃんや家族との面会も可能です。

帝王切開で生まれた赤ちゃんは異常が見られなくても様子見のためにNICUに入れられ一晩様子を見ることが多いです。
お母さんと対面するのは翌日以降になることもあります。

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術後や傷は?

術後や傷は?

帝王切開は開腹手術なので、身体の回復には時間を要します。
実際に帝王切開をするとなると、産後の痛みはいつまで続くのだろう、傷はどうなるのだろうと心配になりますよね。
麻酔が切れた後はもちろん痛みはありますし、回復まで比較的長い期間を要します。
入院の期間も、通常の経腟分娩に比べて退院するのが1~2日遅いです。

帝王切開後にママが感じる主な痛みは「後陣痛」と「傷口の痛み」です。
どちらも個人差はありますが、術後3日目頃には痛みは落ち着くと言われています。

傷口の治癒は、切開の方法によってその期間が変わってきます。
縦に切った場合は手術開始から赤ちゃんを取り出すまでの時間が短く、術後の傷の治癒が比較的早いというメリットもあります。
ただ、パンツのラインに沿う横の切開よりも傷跡が目立ちやすいというデメリットもあります。

帝王切開の場合、赤ちゃんが産道を通り抜けていないため、出後の骨盤は開いていないのではのと思う人も多いようですが、妊娠の影響で骨盤周りの関節や靭帯が緩んでいきます。
これに子宮の重みも加わって、骨盤の真下にある軟骨のつなぎ目も開いていきます。
そのため、帝王切開で出産したママも、開いた骨盤を引き締め体型を戻すために骨盤ベルトを使いたいという人もいるかもしれません。
ですが、お腹の傷は痛みも伴いますし、傷口を締め付けてしまう恐れがあるので、焦りは禁物です。

また、赤ちゃんのお世話に忙しくなる産後には、子宮や膣から排出される「悪露」と呼ばれる分泌物が排出されます。
産後すぐは血が多く混じっていることで赤い色をしていますが、次第に血液が減少して褐色から透明に近い色になっていきます。
悪露の排出には量や期間などに個人差があり、すぐに止まる人もいれば一か月以上続く人もいます。

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利点とリスク

利点とリスク

帝王切開の利点とリスクを見ていきましょう。

まず良いところです。
帝王切開は母体に負担のかかる手術ですが、赤ちゃんに対する安全性の向上が一番のメリットと言われています。
予定帝王切開に関しては、前のお産で経腟分娩をした体験がトラウマになっている場合や、死産の経験など何らかの理由でお産に対する恐怖が強い場合は、それを回避することで精神的な負担を軽減できます。

また、入院・分娩・退院の一応の目安がわかることで、予定が立ちやすいことも大きなメリットと言えます。
仕事関係の引継ぎや、旦那さんの仕事の予定、両親との日程調整、上の子がいる場合には幼稚園保育園や学校行事と重ならないように医師と手術日を調整することもできます。

では帝王切開にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
長時間ベットに横たわることでの、「肺血栓塞栓症」のリスクが高まります。
しかし近ごろは経過が良ければ痛みはありますが、痛いのを我慢しながら手術翌日に歩行したり、弾性ストッキングで下肢を圧迫することで、血栓の予防策を行っています。

その他、帝王切開の回数が増えるほど癒着胎盤、膀胱損傷、子宮摘出のリスクが増えることや、麻酔薬によりショック状態になる、次回妊娠で普通分娩を選択した場合の子宮破裂のリスクが上がる、などがあります。

帝王切開では通常のお産の2倍近くの出血があると言われています。
ですので貧血気味の方は妊娠中から改善しておくことも大切です。

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補助金、費用、保険について

補助金、費用、保険について

帝王切開での出産になると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

自然分娩は正常の分娩であり病気ではないため、公的医療保険の適用にはなりません。そのため、かかった費用の全額が自己負担になります。
民間の医療保険も自然分娩は保証の対象外です。
入院給付金や手術給付金などを受け取ることはできません。
自然分娩の出産費用は平均50万円前後だと言われています。
子供が生まれた時、子供一人につき42万円の「出産育児一時金」を受け取ることができます。
ですので退院時に払う費用はその差額の10万円前後です。

では帝王切開の場合はどうでしょうか。
帝王切開でももちろん「出産育児一時金」は受け取ることができます。
自然分娩とは違って帝王切開の一部は公的医療保険の適用になります。
妊娠前に民間の医療保険に加入しておけば、そちらも適応になります。

帝王切開の場合は普通分娩ではかからない費用もかかってきます。
入院日数も、自然分娩の場合は平均6日ですが、帝王切開の場合は7日から10日程度、産後の経過によっては10日以上になることもあります。

ただし、帝王切開に伴う手術や投薬、注射、麻酔、検査、入院料などの医療費は公的医療保険の適用になり、自己負担額は3割になります。
公的医療保険が適用になる費用は、高額療養費制度も適用されるため、1か月の上限額を超える自己負担部分は払い戻されます。
なお、差額ベットダイヤ食費、分娩料、新生児管理保育料など公的医療保険が適用されない費用は、全額自己負担になります。

民間の医療保険に加入しておけば、想定外の出費にも対応できます。
すべての医療保険が帝王切開を補償しているわけではありません。
契約内容をよく読むことが大切です。
加えて妊娠中は保険に加入できなかったり、一人目を帝王切開で出産した人その後は無条件では加入できなかったりするので、女性の場合は独身時代、または妊娠前の時期に加入しておくのが良いでしょう。

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まとめ

まとめ

帝王切開は今では5人に1人が経験している出産方法です。
経腟分娩(普通分娩)で出産すると母体と赤ちゃんに危険が及ぶと判断された場合に行われます。

帝王切開には、定期健診の段階で、経腟分娩ではリスクが大きいことが事前にわかっている場合に、ママと赤ちゃんを守るために帝王切開を行う「予定帝王切開」と、お産が始まってからトラブルが生じ、経腟分娩では危険だと判断された場合に緊急に同意を経て行う「緊急帝王切開」があります。

お腹を開腹して赤ちゃんを取り出すのですから、手術になりますが、ママと赤ちゃんの安全を考えた最善策ですから、不安に思わなくても大丈夫です。
不安なことは医師や家族としっかり相談し、安心して分娩にのぞんでくださいね。

術後は痛みを伴ったり、傷の跡も気になるところだとは思いますが、帝王切開で無事に出産することが大事ですので、病院や医師に任せてママと赤ちゃんのことを一番に考えましょう。

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