不安も人一倍だけど、その分喜びも人一倍大きい高齢出産

高齢出産
35歳以上での妊娠・出産は珍しい!と言われていた時代もありましたが、いつからか35歳以上での妊娠・出産は特別なことではなくなってきました。

今は30代後半での初産は特に珍しくもなく、それどころか40代で出産する人も多い時代になりましたよね。
ところで何歳からの出産を「高齢出産」と呼ぶか知っていますか?
35歳以上での初産、二人目以降の経産婦であれば40歳以上を「高齢出産」と呼びます。

日本では芸能人でも高齢出産をしている人は多く、女優の水野美紀さんは43歳で第一子を出産されています。
またアメリカの有名人も高齢出産を報告している人が多く、ご存知の方も多いと思いますが、50歳で出産した歌姫ジャネット・ジャクソン。
50歳以上の出産は「超高齢出産」と呼ぶこともありますが、この年齢になるとほとんどの女性は排卵が終わっていて、自然妊娠は不可能となっていることが多いのですが、ごくごくまれに自然妊娠して出産することもあるのです。
さらにオスカー女優のレイチェル・ワイズは48歳で妊娠。
ハリウッドセレブの高齢妊娠・高齢出産には驚きますよね。

しかしこのような高齢妊娠・高齢出産は、20代や30代前半の妊娠・出産に比べリスクが多くなってしまうのも事実です。
いまはバリバリ仕事をしていて、アクティブな女性が多い時代ですが、普段元気な人でも若い時と比べたら何かしらのトラブルを抱えてしまう人が多いのが高齢妊娠・高齢出産。
もちろん何のトラブルもなく無事に出産している人もたくさんいます。
こんなトラブルがあるというのを頭に入れておくのも大切ですが、あまり考えこまないようにしましょう。
何かしらのトラブルを発見するためには、産婦人科での妊婦健診を欠かさず受けることが大事です。
つわりで辛かったり、待ち時間が長かったりと面倒に思うこともあるかもしれませんが、ちょっとした変化にも気づいてもらえるし、トラブルも早く見つけることができます。
パートナーにも協力してもらいながら、欠かさず妊婦健診を受けるようにしましょう。

この記事では高齢妊娠・高齢出産のリスクやリミットなどについてまとめてみました。

高齢妊娠は妊娠中のトラブルも多いの?

高齢出産

では高齢妊娠・高齢出産には具体的にはどのようなトラブルが多いのでしょうか。

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①妊娠高血圧症候群

これは高齢出産の代表的なトラブルと言っても過言ではないでしょう。
妊娠中期の20週目以降から出産後12週までに、高血圧であったり尿蛋白がある場合に妊娠高血圧症候群と診断されます。
腎臓の機能が低下してしまうので、体内に水分がたまり上半身にむくみが出ることもあります。
悪化してしまうと赤ちゃんの成長やママに影響してしまうことがあるので、血圧を下げる薬を服用することになります。
それでも下がらない場合には入院して母体を管理することが必要になってくることもあります。

では妊娠高血圧症候群にかかりやすいのはどんな人でしょうか。
もともと高血圧だったり、糖尿病や腎臓病などの持病があったり、双子以上の妊娠、肥満の場合にリスクが高くなります。
また一人目を妊娠中に妊娠高血圧症候群になった人は、そうでなかった人に比べて、二人目の妊娠時にリスクが約7倍になるというデータがあります。

②妊娠糖尿病

妊娠してから初めて糖尿病になった場合に診断されます。血糖値が基準より高いけれど、まだ糖尿病には至らない軽度のものを指します。
もともと血糖値が高めだったり、家族に糖尿病の人がいたり、肥満の人もリスクが高くなるので注意が必要です。
日本では、妊婦さん全体で7~9パーセントが妊娠糖尿病と診断されます。

妊娠糖尿病の場合は、あまり運動療法を行うことはおすすめできないので、まずは食事療法から始めましょう。
かといって、極端に食事を減らしてはいけません。妊娠糖尿病の原因は、食べすぎや生活習慣だけとは言えません。
赤ちゃんへの栄養や、出産のエネルギー、産後の授乳などのために、ある程度は体重を増やさなければなりません。
主治医の先生や、管理栄養士さんに相談し、適正に体重を増加していくことが大切です。

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③前置胎盤

胎盤はママからお腹の赤ちゃんに血液や栄養、酸素を送るために大切な組織です。妊娠16週目ごろまでに作られるのですが、その時に胎盤が通常より低い位置に形成されることを前置胎盤といいます。
前置胎盤は全妊婦さんの約0.3~0.6パーセントに起こると言われていて、胎盤が子宮口をふさいでしまう状態のことをさします。一部だったり、全体がふさがれていたりと程度があります。子宮口がふさがれてしまうと、赤ちゃんが産道にたどり着けず自然分娩が難しくなってしまいます。
子宮口がふさがっていて赤ちゃんが出てこられないので、前置胎盤の妊婦さんはほとんどの人が帝王切開での出産となります。

前置胎盤の原因ははっきりとしていませんが、過去の流産や人工妊娠中絶、帝王切開などの手術により、子宮内膜が傷ついたり炎症を起こしたりすると発症率が上がるといわれています。

④難産になってしまう…?

出産が近づいてくるにつれて、子宮頸部が少しずつ柔らかくなってきます。
高齢出産の場合、軟らかくなるのに通常よりも時間がかかる場合があります。
また産道(赤ちゃんの通り道)が広がりにくく、陣痛が弱く(微弱陣痛)、赤ちゃんと母体の安全を優先して帝王切開での出産になることもあります。
出産時間が長くなる可能性は高くなりますが、もちろん個人差はあります。

これらのトラブルは、当然ですが高齢であることだけが影響しているのではありません。
高齢出産であってもそうでない人と同じように安産の人も大勢います。
高齢出産だからと不安になりすぎず、穏やかなマタニティライフを過ごしましょう。

妊娠・出産のリミットについて知っておこう

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「いつまで産めるの?」「妊娠の限界は?」という疑問にはっきりとした答えはありません。
年齢が高くなるにつれて、妊娠できる確率が低くなることはみなさんご存知だと思いますが、実際のところ何歳まで妊娠は可能なのでしょうか。
閉経するまでは妊娠できるのでは?と思っている人もいると思いますが、日本人の閉経年齢は平均で約50歳です。閉経する数年前には妊娠できる能力は衰えていると言われています。

卵子は胎児の時には約700万個あるのですが、年齢を重ねるごとにだんだんと減っていき、閉経するころには1000個程になると言われています。
そこで疑問に思うのが、卵子が減らなければ妊娠は可能なの?というとこですよね。しかし残念ながら卵子は生まれる前につくられ保存されているだけで、新たに作られることはありません。さらに年齢を重ねるにつれて老化していくので、妊娠する確率も低くなってしまいます。

ダウン症候群~卵子の老化

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「卵子の老化」という言葉を聞いたことがありますか?
2012年にテレビの番組で紹介され、これによって多くの人が知ることになったのではないでしょうか。

卵子は年齢とともに数が減っていくだけでなく質も低下していきます。
体や肌が年齢を重ねるにつれて変化していくのと同じように、卵子も老化していくのです。

この卵子の老化によって確率が高くなってしまうのが、お腹の赤ちゃんがダウン症候群である確率です。
年齢が高くなるにつれ流産する確率が高くなるのですが、これは胎児の染色体異常が主な原因として挙げられます。

お腹の赤ちゃんがダウン症候群である確率はママの年齢が大きく影響していて、ママが20歳の場合、1667分の1の割合で染色体異常が起こります。
30歳の場合は952分の1、40歳では106分の1と年齢を重ねるにつれてダウン症候群の子供が産まれる割合が高くなると言われています。

しかし赤ちゃんの障害は、ダウン症候群などの染色体異常以外にもたくさんあります。
産まれてくる赤ちゃんの約3~4パーセントにはなんらかの障害がありますが、それは高齢出産であるかどうかは関係ありません。
ママが若ければ赤ちゃんが健康で強いということもありませんし、高齢だから病気がちで弱いということも決してありません。

出生前診断

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出生前診断とはダウン症候群などの染色体疾患や先天性の病気を調べる検査です。出産前に赤ちゃんの状態を知って、分娩時期や、産後に育てていく環境を準備しておくことが出生前診断の本来の目的なのです。検査を受ける前に赤ちゃんに障害や病気があるのではないかと、不安に感じることもあるかもしれませんが、その可能性を調べることにはリスクを伴うこともあるので、出生前診断を受ける前には、パートナーとよく話しあっておくことが大切です。また妊婦検診の際に超音波検査の結果で気になることがあれば、より詳しい検査していくことになるでしょう。よって、出生前診断は誰もが無関係ではないと考えられます。
検査には染色体疾患の可能性を判断する非確定検査として「母体血清マーカー検査(クアトロテスト)」「胎児超音波検査」「母体血胎児染色体検査(NIPT)」といった種類があり、これらの検査結果で病気の可能性が高いという結果が出た場合、「羊水検査」「絨毛検査」といった精度の高い確定検査を受けることができます。
出生前診断には「命の選別」ではないかという批判もあります。染色体異常という結果を受けて出産に至った人は、わずか3%という調査結果が出ています。もちろんその中には流産してしまった場合もありますが、大勢の人が陽性という結果が出た場合中絶することを選んでいるのです。これは染色体異常の子どもがどのように生きていくのか、どういう風に生活するのかをよく知らないということが不安にさせるという問題点があるからです。
けれども障害は染色体異常だけではありません。出生前診断を受けてもわからない、自閉症のように産まれてこなければわからない障害もあれば、後天的に重度の障害を負うこともあります。産まれてくる命とどのように向き合うべきなのか。
子供を持とうと思った段階で、情報を集めてよく考え、パートナーときちんと話し合っておくことが大切です。

妊娠しやすい体質を作ろう

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では妊娠しやすい体質になるにはどうしたらいいのでしょうか。
一度自分のライフスタイルを見直してみましょう。

①適度な運動

現代の日本人は、車や電車での移動が増え、仕事も忙しくて運動をする時間も取れない、という人が多いのが現実ですよね。
このような状態では、普段の食事で摂取した糖質や脂肪を消費することができずに、からだにどんどん溜め込んでいってしまうことになります。
適度な運動をすることによって血液の循環が良くなると、女性は骨盤の血流の滞りが解消し、生殖器官の働きが良くなります。
散歩やジョギングなど、自分に合った適度な運動を毎日続けて行うことが大切です。

②体を冷やさない

妊娠しやすい体質を作るにあたって、冷え性は一番の敵です。血行が悪くなると、卵巣に栄養や酸素が十分に届かず卵巣機能の低下を招いてしまいます。
冷え性を解消するには
・シャワーではなくぬるめのお風呂にゆっくりとつかる。
お風呂で温まることによって血行が良くなり、リラックスして質のいい睡眠がとれます。
・体を温める食事をする
生野菜より温野菜、冷たい飲み物より温かい飲み物といったように、体の中から温めるようにしましょう。
・水分をとりすぎない
水分をとるということはきちんと排泄をするということまでがセットです。運動が不十分で水分が体内に残ってしまうと体を冷やす原因となってしまいます。

③ストレスを溜めない

ストレスは女性ホルモンには大敵です。
なるべくリラックスして過ごすように心がけましょう。

④食事のバランスを考える

1日3食、できるだけ毎日同じ時間に食事をとるようにしましょう。
無理にダイエットをしようと食事を抜いてしまうと、ホルモンの分泌に影響し排卵障害の原因になってしまいます。

⑤たばこやお酒などの嗜好品

喫煙している人は思い切って禁煙しましょう。
妊娠の為だけでなく、出産のことも考えてぜひ禁煙しましょう。
またお酒の量が多くなると、月経不順や排卵障害などを招く原因になります。
出来るだけアルコールを控えることも大事です。

まとめ~高齢出産のメリット

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ここまでの記事を読んでいただくと、35歳以上の妊娠はリスクばっかり、気を付けないといけないことばっかりじゃないか!と思う人もいるかもしれません。
しかし、年齢を重ねているからこそのメリットもあるんですよ。年齢を増すとともに、精神的や経済的にも安定できる人が多くなり、子供を育てることにも余裕が持てるようになるという考え方もあります。

35歳を過ぎても不妊で悩まないようにするためには、卵巣の機能を低下させないようにすることが大切です。喫煙や飲酒などの不規則な生活、ファーストフードやジャンクフードなどをなるべく避けて、ストレスを溜めないような生活習慣を心がけるようにしましょう。

また子宮がん検診や、子宮筋腫、子宮内膜症の検査を一年に一度は受けるようにしましょう。
妊娠・出産のリミットをきちんと理解したうえで、ライフプランを立て、仕事やプライベートをうまく調整していきましょう。

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